伊東の新図書館の運営は、最近まで直営と民間を同レベルで検討してたはず
前回の新図書館vol.1は、多くの方に閲覧していただきました。
新図書館は、伊東のまちづくり計画の軸であり、多額の費用を使うこともあり、気になる人が多いってことですよね。
そんな新図書館特集の第二弾は、「民間が運営の第一候補になったのは、いつ?」です。
まずは、その事実確認から入っていきます。
僕は、会社員時代に、SE(システムエンジニア)や、事業企画・事業責任者を経験してきました。
その中で、システムトラブルや、契約上のトラブル、事業関係者間のトラブルなど、いろいろと対応してきています。
トラブル解決のときに、まず最初に行うのは、「事実確認」です。
そこから原因がわかり、対策を考えることができるからです。
新図書館の運営についての事実確認は、関係資料が多いため、なかなかの時間がかかりましたが、そこから見えてくるものありました!
【事実確認】伊東市役所で公開されている新図書館関連の資料をすべてチェック!
対象期間
4年間: 2019-2022年 (それ以前の資料も6点あり)
対象資料
<関連資料>
基本設計及び実施設計等業務プロポーザルにおける最終審査(第2次技術提案審査)
伊東市新図書館基本計画
伊東市新図書館基本設計
地方行政サービス改革の取組状況等
伊東市社会教育施設長寿命化計画
施政方針
第五次伊東市総合計画
<議事録>
伊東市新図書館基本構想策定委員会
教育委員会定例会
常任福祉文教委員会
市議会定例会
市民ワークショップ
地域タウンミーティング
未来ビジョン会議
パブリックコメント
上記資料以外に漏れがないか確認するために、「新図書館」というワードで検索して、漏れがないことを確認済み。
成果物
その中から、新図書館に関する発言、運営に関する発言、71件を一覧化。
少々見づらいですが、ご興味があれば、さらっとご覧ください。
【まとめ】民間が優先になったのは、2022/12の市議会の定例会議から
今までは、ずっと「直営と民間を検討する」という表現だったのが
2022/12の市議会で初めて、「民間を優先している」というニュアンスの表現になったことが、ハッキリとわかりました。
それが、この表現です。
重岡議員の質問に対する、教育委員会の回答から抜粋しました。
(1) 直営と指定管理者
双方にメリット・デメリットが存在することは認識しておりますが、新図書館におきましては旧来の図書館サービスのみではなく、市民をはじめ訪れる方に、学び・交流・創造・憩いを生みだす拠点施設として、新たな事業展開にも期待をしていることから、これらメリット・デメリットを総合的に判断する中で、指定管理委託制度の導入を見据えた検討を進めているとこであります。
(2)運営費
訪れていただく方々に、令和時代の新たな図書館サービスを適切に提供するためにも新図書館に勤務される方に、誇りとやりがいを持って楽しく就業していただくことを期待していることから、安易に人件費を減額するのではなく、民間活力によるノウハウを最大限活用し、弾力的なアシスト形態の導入も検討してまいります。
2022/12議会の質疑については、新図書館特集vol.1でまとめました。
過去の議事録や資料を調査した後に、この質疑を見直してみると、明らかに表現が変わったと感じました。
どうでしょう?
直営と民間が、均等な状態で検討が続いているように見えるでしょうか?
僕には、民間の方向で進んでいるように見えます。
むしろ、決定したかのようにも感じました。
え? 伊東の新図書館の運営って、民間になりそうなの?! 12月の市議会の内容を確認している中で、重岡議員から非常に気になる質問が。 「運営は、直営と指定管理者(民間)のメリット、デメリットは?」  […]
【推理】2022/10に、民間の方向に決まった?
2022/12の市議会で、民間の方向になっているニュアンスの発言があったということは、それ以前のどこかで、それが決まったということです。
別の見方をすると、もっと以前から民間に決まっていたという可能性もありますが、ここでは、議事録・資料の内容から、検証をしていきます。
12月付近の日程の会議や公開資料をまとめてみました。
12月付近の会議など
2022/9/12,13 市議会「9月定例会」
ここでは、杉本憲也議員、重岡議員からの質問・意見に対して、
「直営と民間のメリット・デメリットを理解したうえで、検討を続ける。
指定管理者にする場合は、パブリックコメント(意見募集)を実施する」
という回答内容でした。
杉本憲也議員
高度の公共性を有する公立図書館の運営は、そもそも営利を目的とする民間の運営にはなじみません。
また、法の趣旨に鑑みれば、公立図書館の運営において一番の専門家は、地方自治体以外あり得ないはずです。
ゆえに、私は公立図書館である伊東市立図書館の運営は、本市の直営であり続けるべきと考えます。
指定管理者制度について言えば、市民病院も指定管理者制度ですけれども、現状、市民から高い満足度を得ていますかね。
何か起きたときに、やっぱりワンクッション置かなきゃいけない、スピードが遅くなるということは市民にとって不幸になります。
ですので、行政がやらなきゃいけないこと、できることについては行政が直営で自信を持って、高いサービスとスキルと誇りを持って取り組んでいただいて、世界に誇れる伊東市立図書館を造っていただきたいと思います。
生涯学習課課長 杉山さん
これまで地域タウンミーティングや基本構想に係る市民ワークショップ、基本構想・基本計画策定時におけるパブリックコメントを実施するなど、広く市民の皆様のご意見を伺うとともに、本年度に入りましても、教育委員会定例会や社会教育委員会、文化振興会議などで貴重なご意見を伺ってまいりました。
今後につきましては、指定管理者制度導入を見据える中で、伊東市立図書館条例の一部改正に係るパブリックコメントを実施した上で、運営方法決定への手続を進めてまいります。
重岡議員
直営方式とするか、指定管理者制度による運営とするかについて、どのような過程で決定されるのか伺います。
これを決定していく過程で、指定管理にする場合には条例改正が必要だということで、多分、まず条例に係るパブリックコメントが再度されるということで、こういう中でも指定管理に関わる意見、それから今後の運営に係る意見なども言うことができると思うんですけれども、事業者を公募する場合に仕様書というのはもう作って、今言われた、こちらの業者を選ぶ上での条件ですよね。それが作られていくんじゃないかと思うんですけれども、その辺の仕様書はどのように作っていくのか。皆さんの意見を聞きながらということだと思いますけれども、会合の計画とかは何かあるでしょうか。
生涯学習課課長 杉山さん
仕様書につきましては、そこまで指定管理について進めておりませんので、現在のところはまだ何もありませんけれども、公募を当然かけていくことになるかと思いますので、その辺については指定管理の選定委員会とかに諮りながら、そこの中で決めていくことになるかなというふうに思っております。
2022/11/9 – 11 市議会議員が図書館視察
(山口県下関市の図書館視察を含む)
山口県下関市の図書館について
開館当初、「設計・建設・5年間の維持管理」について、一括して総合評価一般
競争入札を行い、落札したSPC(特別目的会社)である(株)ドリームシップを、指定管理社として単独指定し、開館からの5年間の管理運営を行っていた。
しかし、指定管理業務が代表企業へ一括再委託されており、下関市指定管理者制度ガイドラインにおける一括再委託の禁止に適合しない状況があった。
また、図書館運営の面でも、人件費抑制のために図書館司書が定着せず、郷土資料や地域資料 に精通した専門職員が不在になるなどの問題があり、平成27年度以降の運営については、図書館部分は市直営とし、生涯学習プラザ部分は、設備管理及び自主事業の運営の面で有利性があるため、非公募にて公益財団法人下関市文化振興財団による指定管理とした。
指定管理制度と直営のメリット・デメリット
<指定管理制度>
メリット
・勤務形態に自由度があるため、開館時間を長く設定することが可能。
・人件費が抑制される。
・民間企業の持つ企画力やノウハウを生かしたサービス提供が可能。
デメリット
・見えないサービスより、数字として表れるサービスを優先。
⇒結果、貸出冊数は増加したもののレファレンス等の市民サービスは不十分に。
・施設一体での指定管理であったことから、図書館職員が生涯学習プラザの業務なども兼務。
⇒図書館職員の専門知識の向上が図られない。図書整理などが不十分に。
<直営方式>
メリット
・レファレンス等の市民サービス部分の充実。
⇒現在、サービスへの信頼回復に力を入れており、展示コーナーなどを用いての積極的なサービス周知や、ウェブレファレンスなど、新たな試みにも取り組んでいる。
・中央図書館とその他の市立図書館の間で人事異動が可能。
⇒司書等の人事交流にもつながり、サービス・ノウハウの継承ができる。
デメリット
・予算や職員削減の影響により、サービス充実のための人員増加や司書職員の正規化が困難。
⇒現状、司書のほとんどが会計年度任用職員。ただし、専門職であることが考慮された中で、長期の継続雇用が可能。
<参加した議員(敬称略)>
委員長 中島弘道
副委員長 杉本憲也
委員 鈴木絢子、長沢正、佐藤龍彦、田久保眞紀
そして、この後が、あの12月の市議会になります。
9月の市議会では、教育委員会からは、「直営と民間で検討中」という回答。
11月に議員さん達が図書館の視察に行き、直営が良いということをさらに確信して、12月の市議会に臨んだという感じですね。
教育委員会の10月定例会の議事録がない・・・
んー。
10月に何かあった??
でも、検索しても、10月には何の議事録も資料もないんですよね。
新図書館を担当しているのは、生涯学習課とのことなので、市役所ホームページで、生涯学習課のページをチェック!
うーん、担当業務は書いてあるけど、活動記録がない・・・。
じゃあ、市議会で新図書館に関して、いつも回答をしてくれている教育委員会はどうだろう?
なるほどー、組織機構を見ると、「生涯学習課」は、教育委員会に属しているんですね。
ということは、生涯学習課の活動は、教育委員会のページにあるかも。
・・・あった!
あれ?
おかしくないですか?
コロナ対策規制がまだ厳しかった2021年は毎月定例会を実施しているのに、2022年は、1月と2月の2回だけ?
次回は、2022年10月25日。
もしかして、この定例会議で、民間の方向に決まった??
でも、その議事録がない。
3ヶ月近く経っても非公開。さすがに公開するまでの時間が遅すぎませんか?
さて、この会議で、どういう資料をもとに、どういう風に判断をしたのでしょうか?
それとも、会議は関係なしで話が進んだのでしょうか?
議事録の公開はいつか?!
気になりますね・・・。
「真実はいつもひとつ!」
とか言ってみたい迷探偵が
お送りしました。
次回の特集は
「直営と民間の検討資料を用意しているのは誰?」
を推理する予定です。