新図書館特集 vol.3「運営方法を提案しているのは誰?」

運営方法って、誰が具体的に提案してるの?

 

疑問に思ったんですが、運営方法の民間・直営の話って、具体的な内容を誰が提案しているんでしょうか?

教育委員会が、複数の図書館を調査をして考えてる??

 

うーん、わからない。

もしかして、市民のみなさんはご存じで、僕だけがわかってないのでしょうか?

 

 

 

前回、作成した4年間の資料一覧を見返すと、大きく関係しているグループは、この4つ。

 

1.生涯学習課(教育委員会)

2.伊東市新図書館基本構想策定委員会

3.基本構想を制作した会社(こんな図書館にするという企画)

4.基本設計を制作した会社(各階の中身などの具体的な設計)

 

今回も事実確認をしていきます!

 

 

 

まとめ

 

運営についての提案者はほぼ確定

まず提案者については、これは推測ですが、ほぼ確定かと思います。

3年前に図書館の基本構想を提案した「株式会社図書館総合研究所」。

ここは、図書館のコンサルティング会社です。

 

調べていくうちに衝撃の事実が

 

この会社を経営しているのは、「株式会社図書館流通センター(TRC)」だということがわかりました。

ここは、図書館運営の民間会社の最大手。

その会社が、自ら提案しているのです!

 

伊東市が「民間」と表現している具体的な民間会社が、ほぼ判明しましたね。

確定なんじゃないでしょうか。

 

この民間会社のコンサルティング会社が提案しているのですから、直営よりも民間のことを推してくるでしょうね。

 

でも、提案内容はわからず

 

この会社が提案してきた資料は、一切見つかりませんでした。

この次に設計を担当した会社の資料は公開されているのに。

なぜなんでしょうね??

 

 

 

調査内容

 

4つのグループの業務を調査していきます。

 

1.生涯学習課(教育委員会)

 

新図書館事業を担当。

市議会では、市議からの質問に対して回答をしている。

 

教育委員会の組織の1つ。

何人で構成されているのでしょうね。

議事録等を調べてもわかりませんでした。

5人くらい??

 

新図書館という大きなプロジェクトのために、人員補強はしたのでしょうか?

 

 

他の図書館の視察に行ったという議事録は、1つだけ発見しました。

もっと多くの回数の視察をしている、期待したいです。

 

2019/5/22 神奈川県大和市シリウスの視察報告
議事録

 

 

2.伊東市新図書館基本構想策定委員会

 

新図書館をどんな感じにするかを考える会。

この委員会実施後、基本構想が発表されました。

 

活動期間:2020/7/13 – 2021/1/25

会議回数:4回

メンバー:10人。教育関連に詳しい人たち。筑波大学の教授、市内の幼稚園代表など。

 

会議には、市長、教育委員会も参加。

委員会のページ

 

最後の会議(4回目 2021/1/25)では、このような意見が出ていました。

特に、委員長の言葉は、とても重要だと感じました。

指定管理者は相当数の事例から長所・短所がわかってきている状況である。
一般論でメリット、デメリットを考えるのではなく、先行事例から 丁寧な分析を行い、どちらが伊東市に向いているのかを検討するのが良いと思う。

 

運営についての説明資料を配布しているわけではなく、口頭でのやりとりのようです。

 

4回目の会議議事録から抜粋

生涯学習課長補佐 鈴木さん
直営方式で運営する場合は、市の職員が図書館サービスを提供するため、公共サービスとしての継続性や、自治体の歴史等を踏まえた上でのサービスができるのがメリットだと考える。
デメリットとしては、人件費等の問題により、開館時間の拡張が難しいと理解してい る。

一方、指定管理者制度を導入した際のメリットは、自由度の高い雇用が可能なので、柔軟な図書館サービスが提供可能であり、人件費等のコストも抑制できる。
開館時間においても、現在より幅を持たせた設定が可能であると認識している。
デメリットとしては、民間委託なので、責任の所在が曖昧になってしまう懸念もある。また、直営方式の場合のメリットとして挙げたが、方自治体の公共サービスとしての継続性や職員のサービスの連続性が十分 確保されない可能性があるという部分は、指定管理者制度のデメリットでもあると認識している。

 


竹之内副委員長(東海大学准教授)
先ほど質問がされた直営方式と指定管理者制度のメリット、デメリットについて は長く議論されていることだが、指定管理者も、年々経験が蓄積されているため、制度が始まった当初に言われていたようなデメリットや不安の中身が変化しているように思う。
メリットとしては運営費が大幅に節減できるため、その分を資料費や他のことに費やすことが可能だ。また、公務員の勤務時間を考慮する必要が無いため、開館時間の延長も可能である。

いくつもの自治体を運営している指定管理者の場合は、イベント等のノウハウも持っており、職員に対する研修もしっかりしているため、職員の質が高まってくるという話も聞く。
職員のサービスの連続性が担保されないという話もあったが、最近はそういった声を受け、 指定管理者も地域の方を採用し、長く勤めていただくことを方針としているところもある。
公務員の場合は、数年で別の部署へ移動することも多いが、指定管理者制度の運営により、 長く勤めてくれる可能性のある地域のスタッフがいることは、図書館にとって良いことだと思う。
各指定管理者は、これまでの成功事例、失敗事例の積み重ねに基づいた運営を常々考えているため、最新の情報を持っており、これまで不安視されていたようなことも少しは 変わってきているように思う。
デメリットとしては、それまで密に連携し、上手くいっていたボランティアとの連携が、違う管理者になり上手くいかなくなるというケースもあるようだ。
検討する場合は、そういった不安な部分を挙げておき、丁寧に解消していくというプ ロセスが大切だと考える。事務局側からは今後のプロセスも早めに情報提供していただき、 丁寧に説明を受けながら進めていただければ良いと考える。


植松委員長(筑波大学名誉教授)
指定管理者は相当数の事例から長所・短所がわかってきている状況である。
一般論でメリット、デメリットを考えるのではなく、先行事例から 丁寧な分析を行い、どちらが伊東市に向いているのかを検討するのが良いと思う。

 

 

3.基本構想を制作した会社

 

図書館を考えるにあたり、2回、プロポーザルを実施。
プロポーザルっていうのは、何かを造るときに、企画書を提案してもらって、良い提案の会社を決めるっていうことだそうです。

1回目は、「基本構想」の制作を依頼した会社です。

 

伊東市からの委託内容

委託内容の資料を読むと、「新図書館に関すること全部考えて、実行してね」という内容に見えます。

今の図書館の状態を理解して、他の図書館のことを調べて、敷地の条件も考えてね。

工事費の概算、運営費も。

市民ワークショップ、伊東市新図書館基本構想策定委員会のメンバーを考えて、運営支援もしてね。

 

・・・なかなか大変な内容ですね。

 

運営については、「民間活用も含めて検討し、効果と概算費用も出してね」と記載があります。

 

(4) 事業計画の検討
ア 概算工事費の算出
(3)に記載のゾーニング案を想定した場合の概算工事費を算出する。
概算運営費の算出
新図書館の運営について、民間活用も含めた検討を行い、効果と概算費用を算出する。

 

なので、この時点で、民間を活用した場合の具体的な提案があったようです。

でも、この提案資料は、公開されてないので、内容はわからずでした。

 

契約期間は、契約締結日から2020年11月30日までなので、もう終わっていますね。

 

依頼内容の情報ページ

 

株式会社図書館総合研究所

複数の提案の中から、選ばれたのは、「株式会社図書館総合研究所」。

 

<ホームページに記載の事業内容>

市民に活用していただける図書館づくりのために、
企画段階・調査段階からご相談に乗らせていただきます。

 

図書館に関するコンサルタントという感じのようです。

「指定管理者制度」の導入という項目があるので、具体的な提案ができるみたいですね。

連携している会社の中に、図書館運営の最大民間会社の「株式会社図書館流通センター(TRC)」があります。

最新の図書館の資料に掲載されている具体的な人件費は、「株式会社図書館流通センター(TRC)」が、出した見積もりだと考えられます。

 

 

 

ホームページのURLは、こちら。

って書こうとして、気がつきました。

あれ?

ホームページのURLが、https://www.trc.co.jp/soken/になってる。

もしかして??

と思ったら、やっぱり!

 

株式会社図書館流通センター(TRC)が作ったコンサル会社だった。

うわー。

これは、伊東市が言っている民間会社って公開されてないようですけど、この会社なんじゃないでしょうか?!

僕は、民間会社についても並行して調べていて、伊東市の新図書館の規模を運営できるのは、この会社だと思っていましたが、確信が持てました。

 

株式会社図書館総合研究所のホームページ

 

 

 

4.基本設計を制作した会社

 

「誰が提案したのか?」っていう疑問に対して、もう結論が出ちゃった気がしますが、続けますね。

 

もう1つの会社が、基本構想をもとに、具体的に形にしていく役割です。

 

伊東市からの委託内容

伊東市からは新図書館の具体的なサービス内容、本の冊数、敷地の詳細の資料を提示したうえで、建物と運営の設計を委託しています。

 

「評価項目及び評価内容」という資料の中には、このような項目がありました。

イニシャルコスト及びランニングコストの低減手法について
・イニシャルコストを低減するための妥当な提案となってい るか。
・ランニングコストを低減するための効率的な運営手法や維持管理手法の考え方を持っているか。

 

 

実際の企画書の中に、このような記載があります

 

「運営計画」という記載があるので、おそらく運営体制についても提案をもらったのだと思います。

 

関連資料のページ

 

 

有限会社マル・アーキテクチャ東京事務所

複数の提案から、伊東市が決定した会社は、「有限会社マル・アーキテクチャ東京事務所」。

 

二人で共同主宰している東京の建築設計事務所のようです。

 

伊東市以外にも図書館の設計の提案していて、伊東市以外で、1つ選ばれたみたいです。

 

<選定>
伊東市新図書館
高知県南国市立図書館(2026年竣工予定)

<提案して落選>
静岡県立図書館
小千谷市図書館複合施設
庄内町新図書館
福智町立図書館・歴史資料館

 

 

提案資料の中に、設計チームの組織図がありました。

 

「図書館主任」は、「図書館計画専門会社」と書かれています。

これはもう間違いなく、先ほど記載した民間の図書館運営会社が経営しているコンサル会社「株式会社図書館総合研究所」のことかと思います。

 

有限会社マル・アーキテクチャ東京事務所のホームページ

 

 

最後に

 

新図書館特集vol.1の中で、「伊東市は、運営方法はまだ決定していないと言ってるけど、もう民間に決まってるのでは?」と、僕は疑問を述べました。

 

でも、今回の調査をした後に、がっかりして、なんだか力が抜けちゃいました。

提案してきたのが、図書館運営の民間最大手の関連会社だったら、民間の方向になっちゃいますよね・・・。

 

この会社以外からも提案を受けたり、生涯学習課の方々が、実際に多くの図書館を視察したり調べたりして、比較検討してくださっているなら、良いのですが。

公開されている資料を見る限り、このコンサルティング会社からの提案のみしか具体的な資料はなさそうに見えるんですよね。

 

 

伊東市には、「運営方法をどのように決めているのか」ということを、市民が理解できるような資料を公開していただきたいですね。

 

あくまでも僕の調査からの推測となりますが、このような報告となりました。