お願いだから、民間になった理由を説明してほしいー!
図書館の運営は、「直営と民間で検討している」と言っていたのに、突然、民間になったことが、いとつくでの今までの調査で明らかになりました。
実は、初めから民間に決まっていて、検討もしていなかったのではないかとも推測しています。
民間への委託の事例でいうと、伊東市民病院の件があります。
問題もよく発覚しているのに、市民病院と市が、腹をわって話し合いをできていないという状況です。
民間にするならするで、市民が安心して、開館を楽しみに待てるようにしてもらいたいんですよね。
あと、市民に対して、正直に話してほしいです。
これは、あくまで、いとつくとしての推測になりますが、直営と民間で本当に検討していたのかが、すごく疑問です。
新図書館の規模の運営が、伊東市役所では困難だから、民間に委託したいということなら、その困難な原因をしっかりと明確にして、対策できるならすればいいと思うんですよね。
ノウハウがないなら学べばいいし、起業と一緒で、最初はうまくいかなくても徐々にうまくいかせればいいと思うんです。
元会社員としては、こんなふうに考えるのが、当然なのですが、市役所は違うんですかね。
生涯学習課だけの判断ではないでしょうから、伊東市役所として、こういう体質なんでしょうか・・・。
市民ってお客さんであり、出資者では?
民間企業のお客さんは、購入者や利用者です。
市役所のお客さんって、ほとんどが市民ですよね。
新図書館は、市民からの税収も一部使って、建設、運営していくわけです。
ある意味では、出資者という表現を使ってもいいかなと思うんですよ。
そのお客さんであり、出資者である市民に対して、喜んでもらえるような姿勢・体制づくりを、ぜひお願いしたいと考えています。
議員さんに相談したうえで、生涯学習課に意見書を提出
9月、12月の市議会の定例会で、新図書館について、質問をされていた議員さんの重岡さんと杉本憲也さん。
お二人に、市民として何かできることはないかと相談させてもらいました。
そして、2/8にお二人に同席いただいたうえで、新図書館のご担当部署の生涯学習課の方に、直接、内容を説明して意見書を提出させていただきました。
意見書の内容は、「不安なので、民間になった理由を、ホームページや説明会で、説明してほしい」というものです。
生涯学習課の方が説明していた、直営・民間のメリット・デメリットを、一つ一つ分析したところ、民間を選ぶ理由が見つかりませんでした。
どうして、民間になるのか本当に知りたいです。
提出から1ヶ月経ちましたので、市議会の定例会が終わったら、何らかの回答をいただけるのを期待しています。
・・・いただけるのかな?
新図書館について伊東市役所からの情報は、1年前に基本構想を発表したあとは、開館が遅れるという報道があったのみです。
開館まであと2年少し。
新図書館OPENが、ワクワクして楽しみになるように、情報公開も期待しています。
提出した意見書のPDF版はこちら
A4で15枚の意見書を、スマホでも見やすいように整えて、以下に記載します。
2023年2月8日 意見書
Ⅰ 趣 旨
伊東市の新図書館の運営が民間優先で進んでいる理由について、市民に対してわかりやすい説明を求めるお願いをいたします。
Ⅰ 理 由
伊東市民の未来のために、新図書館の建設を進めていただき、ありがとうございます。
これからの伊東市にとって重要な施設であり、巨額の費用がかかることもあり、多くの市民が注目しています。
基本計画に記載があるように、その目的である『市民が未来を拓くことのできる図書館を目指す』を達成するために、設備以上に重要なのが運営ではないかと考えています。
新図書館の目指す姿には、『地域の情報を集約し、新図書館において拡充が必要な7つの機能・サービスを結び付ける役割を持ち、誰もが利活用できるエリア「まちのミュージアム」を施設の中心部に構築』と記述されています。
これを実現するために、教育委員会の方々が今まで以上に注力して、直接運営をしていただけるものだと考え、期待していました。
ですが、市民への説明もないままに、民間優先になったということを知り、新図書館への期待が、疑問と不安に変わってしまいました。
民間会社を否定しているわけではなく、民間が良く直営ではダメな理由を、わかりやすく説明していただきたいというお願いになります。
伊東市政を伝えるメディア「いとつく」では、新図書館の特集記事を公開しており、私と同様の不安を抱いている方々から注目を集めています。
ご説明をお願いしたい3点
1.民間優先になった理由
2.直営が選ばれない理由
3.直営になる可能性
上記について、伊東市役所のホームページで説明をお願いできないでしょうか。
説明会も実施していただければ、多くの市民が参加すると思います。
以下に詳細を記述します。
1.民間優先になった理由
はじめに
民間の指定管理者が運営している図書館について、数多く調査しました。
ですので、民間の運営を安易に否定しているわけではなく、民間を選ぶ理由を理解したいためです。
ですが、新図書館の目指す姿を考えると、民間のデメリットは特に不安に感じています。
また指定管理者制度の事例として、伊東市民病院のことが非常に気になっています。
何かが起きても市との話し合いやコントロールができていない状況があるので、新図書館も同じようになるのではと不安があります。
それらの不安も解消できるような説明をしていただけると幸いです。
4年間分の公開資料を確認
新図書館に関する公開資料(議事録、構想・設計など)を4年間分、全て確認しました。一覧化して、いとつくで公開済みです。
小野市長、教育委員会から説明のあった直営、民間のメリット・デメリットも一覧化しました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
直営 | ・地域のニーズの把握が迅速であり、一貫したサービスを提供できる ・学校や団体との連携が容易となりやすい |
・弾力的な給料体系が難しく人件費を含む運営費が高騰する ・新たなスタイルの図書館運営方法が未経験である |
民間 | ・ノウハウを最大限に生かすことが可能 ・知恵を最大限に生かすことが可能 ・司書などの専門職員確保 |
・指定管理事業者が変更となった場合、サービスやソフト面の継続性をどう担保していくか ・他市の中で問題になっている選書の部分。どういった本を選ぶか ・指定管理の期間がある中で資料の歴史的な継続をどうやってつなげていくか |
ですが、公開資料上では、市民、市議、教育委員会、基本構想策定委員会などの関係者から、「民間のほうが良い」という言動は見つかりませんでした。
それでは、なぜ、民間優先になったのでしょうか。
民間採用の方向で進んでいることに対して、2022年9月および12月の市議会定例会にて、重岡議員、杉本憲也議員から直営を提案し、民間採用の理由説明を求めても、「新図書館の目的」に対して、民間が良いという理由の具体的な説明は、一度もなされていませんでした。
人件費の抑制、ノウハウという言葉が繰り返されています。
そのため、民間を選ぶのは、「新図書館の目的」に適しているかよりも、人件費抑制を重視しているという印象を受けています。
重要な意見
図書館基本構想策定委員会の委員長および副委員長からは、丁寧に分析することが大切だと提案されています。
どのように、伊東市に合うかを、どのように丁寧に分析して、不安を解消したのかを説明していただければと思います。
【2021/1/25の伊東市新図書館基本構想策定委員会の議事録より】
植松委員長(筑波大学名誉教授):
「指定管理者は相当数の事例から長所・短所がわかってきている状況である。
一般論でメリット、デメリットを考えるのではなく、先行事例から丁寧な分析を行い、どちらが伊東市に向いているのかを検討するのが良いと思う。」
竹之内副委員長(東海大学准教授):
「検討する場合は、そういった不安な部分を挙げておき、丁寧に解消していくというプロセスが大切だと考える。事務局側からは今後のプロセスも早めに情報提供していただき、丁寧に説明を受けながら進めていただければ良いと考える。」
説明をお願いしたい内容
どの組織で、いつ、どの資料をもとに、どのように決めたのでしょうか。
もし、民間・直営が未決定の場合は、今後の予定の質問になります。
民間への不安も解消したうえで、民間優先になった理由を市民が理解しやすいように、資料も交えてわかりやすい説明をお願いいたします。
(1)どの組織で決めたのか
決定者は教育委員会だと思い、定例会の議事録を確認しましたが、2022年3月以降、議事録は公開されていないため、わかりませんでした。
市民に非公開の会議で、内々に決まったのでしょうか。
(2)スケジュール
決定までの手順とスケジュールの説明をお願いいたします。
(3)どの資料・情報をもとに、どのような判断で決めたのか
直営か民間かを決めるときの判断材料の資料・情報は、どのようなものだったのでしょうか。
基本構想のプロポーザルで選ばれた「株式会社図書館総合研究所」からの資料が主な判断材料なのでしょうか。
「株式会社図書館総合研究所」は、民間最大手の「図書館流通センター」が経営している会社なので、民間を重視した内容になっているのではないかと予想しています。
以上が、「1.民間優先になった理由」についての内容となります。
2.直営が選ばれない理由
別の視点からお聞きしたいのですが、直営が選ばれない理由はどういったものになるでしょうか。
民間のメリット
直営と比べて、民間のメリットが大きいから、直営が選ばれなかったと思うので、そのメリットについて考えてみました。
以下3つが民間のメリットとして挙がっています。
(1) 民間のノウハウを最大限に生かす
(2) 民間の知恵を最大限に生かす
(3) 司書などの専門職員確保
ですが、調査分析をした結果、これが民間のメリットだと、はっきりとは言えないと考えています。
直営でも、可能ではないかと思ったためです。
(1) 民間のノウハウを最大限に生かす
ノウハウとは具体的に何を指すのでしょうか?
基本計画をもとに、現図書館と新図書館のサービスを一覧化しました。
新図書館では、本の貸し出し関連サービス以外の新サービスが複数ありますが、最初だけ説明を聞けば、じきに慣れそうなものばかりかと思います。
ICTも同様です。
(2) 民間の知恵を最大限に生かす
民間の知恵とは具体的に何を指すのでしょうか?
現図書館でも、民間のサービスを参考にして、素晴らしいサービスを展開してくれています。
一例)
・紹介文のみでタイトルは秘密
・子供向けのおすすめ本を、保護者の方に送る(手渡し)
現図書館のスタッフの方々のアイディア(知恵)で、具体的に何が不足しているのでしょうか。
また、市民からアイディアを募集することでも、無理のない範囲で、伊東市民が希望しているサービスを実現できる可能性もあると思います。
行政、市民一体となって、市民の未来のためのサービスを考えるのが理想の形なのではないでしょうか。
(3) 司書などの専門職員確保
現時点で民間と言っている会社は、「図書館流通センター(以下、TRCと記す)」のことだと考えています。
人件費は、TRCの給与をもとに計算しているのではないでしょうか。
理由は、基本構想のプロポーザルで選ばれた「株式会社図書館総合研究所」は、TRCが経営している会社だからです。
そのTRCは、自社のホームページと、複数の求人情報サイトで、求人をしています。
実際の求人票を見ると、司書なしでも募集しています。
事業拡大もあるのでしょうが、退職者も少なくはないようなので、人手不足で常に求人しています。
TRCだから、司書などの専門職員の確保をしやすいとは思えませんでした。
直営でも求人の方法は同じではないのでしょうか。
<TRCが受託している浜松市の図書館の求人票>
浜松市内弊社受託館
0127【契約社員】図書館スタッフシェアワーク/接客
時給 1,010円~1,040円
・司書資格あり 時給 1,040円
・司書資格なし 時給 1,010円
※更新前は時給/司書資格あり1,020円、司書資格なし990円
https://trc-recruit.net/jobfind-pc/job/All/25572
以上が、「2.直営が選ばれない理由」についての内容となります。
民間の3つのメリットは、はっきりとメリットだとは言えないのではないかという内容でした。
そのため、直営が選ばれない理由を教えていただければと思います。
3.直営になる可能性
現時点では、民間の方向で進んでいるだけで、決定ではないと理解しています。
直営になる可能性はあるのでしょうか。
それにはどのような条件が関わってくるのでしょうか。
<直営のデメリットとしている人件費>
「2.直営が選ばれない理由」で述べたように、民間のメリットの部分は、直営でも問題ないのではないかと考えています。
残りの検討事項は、直営のデメリットとされている「弾力的な給料体系が難しく人件費を含む運営費が高騰する」についてです。
(1) 人数
民間だとノウハウがあるから、バックヤードは、直営よりも10人少なくて良い。という試算とのことでした。
バックヤードが何を指していて、これほど差がある具体的な理由も説明がないので、正確には理解できていないのですが、ノウハウは、先述したように、最初に説明を聞けばじきに慣れると思います。
TRCでも、契約した図書館業務の未経験の方に対して、eラーニング中心の研修教育をしてから業務に従事してもらうようです。
必要でしたら、その研修教育というのを、最初にお願いすることでもよいのではないでしょうか。
(2) 給与
数人の正規職員と、非正規職員という、現在の図書館のような体制では、何か問題があるのでしょうか。
そうなれば、人件費は、概算ほどの差は出ないと考えます。
(概算における人件費の差は、給与ではなく人数のようですが)
加えて、これはTRCだけの課題ではないですが、司書資格者の給与が低すぎるため、やりがいはあっても続けられないという司書の苦悩が、多くの記事、SNSで投稿されています。
転職サイトの情報でも、書かれています。
https://en-hyouban.com/company/10011948709/salary/
可能なら、伊東市の直営で、非正規職員の給与を少しでも上げることにより、より多くの募集が集まるでしょうし、伊東への移住者も増えるかもしれないと考えています。
伊東市民に対して仕事の供給にもなるかと思います。
<直営のほうが適しているのでは>
ここまでで、民間のメリット(ノウハウ・知恵・司書確保)、直営のデメリット(人件費)について、疑問と案を提示しました。
これに、民間のデメリット、直営のメリットが加わります。
新図書館の目的、目指す姿から考えると、直営のほうが適しているように思うのですが、いかがでしょうか。
(1) 民間のデメリット
・指定管理事業者が変更となった場合、サービスやソフト面の継続性をどう担保していくか
・他市の中で問題になっている選書の部分。どういった本を選ぶか
・指定管理の期間がある中で資料の歴史的な継続をどうやってつなげていくか
(2) 直営のメリット
・地域のニーズの把握が迅速であり、一貫したサービスを提供できる
・学校や団体との連携が容易となりやすい
(3) 目的
市民が未来を拓くことのできる図書館を目指す
(4) 新図書館の目指す姿
地域の情報を集約し、新図書館において拡充が必要な7つの機能・サービスを結び付ける役割を持ち、誰もが利活用できるエリア「まちのミュージアム」を施設の中心部に構築
<パブリックコメントへの懸念>
パブリックコメントを実施するとのことですが、そこで例えば、半数以上の割合で、民間への不安、直営の希望の意見がでた場合、直営になるのでしょうか。
市民からどれだけの数の不安・反対の意見が集まっても、民間を採用するのではないかと不安に思っています。
それは、現時点で、市民への説明がないままに民間優先で進んでいるからです。
加えて、昨年、川崎市の図書館でも、指定管理者制度導入についてのパブリックコメントで、「市民への説明を求める」という要望が多く出たにも関わらず、説明がなかったようなので、同様のことにならないか不安があります。
川崎市ではこういう流れだったようです。
1.民間の採用について、市民にパブリックコメント(意見)を求める
2.不安や反対意見が多数
3.各意見に対して、「しっかりと管理、運営していくから大丈夫」という回答をする。
4.最後に「パブリックコメントの貴重な意見ありがとうございます。いただいた意見をもとに民間会社とともに良い図書館にしていきます。」で締める。
川崎市図書館の記事、情報
・東京新聞:川崎市図書館に指定管理者 市、制度導入方針を公表 意見公募結果も「丁寧な説明を」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/198354
・公式「市民館・図書館の管理・運営の考え方(案)」に関する パブリックコメントの結果について
https://www.city.kawasaki.jp/templates/pubcom/cmsfiles/contents/0000140/140387/01_pabukomekeka.pdf
・パブコメ特設サイト
https://newkawasaki.jp/page-1173/
・議員ブログ:川崎市が市民館・図書館を「指定管理」にする方針を発表
https://www.katayanagi-susumu.jp/archives/5697
以上が、「3.直営になる可能性」についての内容となります。
最後に
以上が、伊東市役所のホームページでの説明および説明会開催をお願いしたい3点についてとなります。
1.民間優先になった理由
2.直営が選ばれない理由
3.直営になる可能性
ご多忙の中、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
伊東市の未来のための重要な施設になると期待していますので、市民が理解して不安なく開館日を迎えられるように、ご説明をいただけますと幸いです。
お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。